NEWS & TOPICS

  • 介護事業

「日本語作文コンクール」優良賞受賞

  • すないの家 千種
「日本語作文コンクール」優良賞受賞

技能実習生としてすないの家千種に2年半前から勤務している

「スンダル プシュパ ラタ」さんが「日本語作文コンクール」で優良賞を受賞しました。

10月7日(金)に東京の経団連会館で表彰式が行われ、出席してまいりました。

皆さんにその作文を披露したいので、是非お読みください。

日本語作文コンクールの表彰式の模様は「JITCO(国際人材協力機構)」のホームページにも
アップされます。

優良賞
「おばあさんとお風呂の鯨」
スンダル プシュパ ラタ

 今、私は日本で介護士として働いています。インドで看護師をしていた私は、介護士としてももちろんしっかり仕事ができるはずだという自信を持って、日本へやってきました。でも、現実は全然違いました。お年寄りの心と世界や、利用者さんを笑顔にすることの難しさや、介護の仕事は深く繊細だということをこの二年で学びました。
 二年前、施設で一週間の介護研修を受けた後、働き始めました。利用者さんたちは私を受け入れてくれるだろうかと心配しましたが、先輩たちと一緒に楽しく仕事ができていました。そして半年が経ったころ、私はユニットを一人で任されるようになりました。そこからが私の試練でした。
 私が声掛けをしても利用者さんに拒否されることが多くなりました。そして、先輩が一緒だった時は、先輩が上手にサポートしてくれていたことに気づかされました。声をかけても、いい反応をしてくれない利用者さんを見て、どうしたらいいかわからず、私の表情は暗くなっていきました。ですが、先輩たちは毎日楽しそうに働いています。自分に本当にこの仕事が続けられるだろうかと不安になりました。
 ある日、一人のおばあさんの入浴介助に入りました。その時おばあさんが突然「お姉さん、鯨が飛んでいるよ」と言ったので、びっくりした私は「お風呂は小さいから、そんなことはできないよ」と言ってしまいました。おばあさんはさびしそうな顔をして、そのあと何も言わなくなりました。自分が大きなミスをしたと思いました。心配になった私は先輩に相談しました。先輩は「お年寄りの感じ方は私たちと違います。いろいろな状態の人がいるから、人によって考えて声掛けをするように気をつけましょうね。」と教えてくれました。私はそのアドバイスをもとに声掛けをしようと思いました。
 次のお風呂介助に入った時、鯨のおばあさんは前といっしょで私に「お姉さん鯨が飛んでいるよ。見て見て」と言いました。「すごいね」と私が言ったら、おばあさんはすごく嬉しそうに話し続けました。そして、「この鯨はいい人だけを選ぶんだよ」と言いました。私はよく理解できませんでしたが、「私が一番、お姉さんが二番目の人なの」と笑いながら言ったおばあさんの言葉を聞いて、私はとても嬉しくなりました。そして、おばあさんの友達になれたと感じました。
 この経験で利用者さんの心と世界がわかるようになりました。そして、相手の世界を理解して言葉を発することの大切さを学びました。それは看護師と患者の間でのコミュニケーションとは違います。私は自信を持って仕事ができるようになりました。今はおじいさんとおばあさんの世界に入っていっしょに楽しく話しています。鯨のおばあさんとも。

CONTACT

かなえ福祉会、かなえグループ各事業への
お問い合わせはこちら
お問い合わせ